真言宗智山派吉祥院珍珠山

仏教コラム

わかりやすくQ&Aお布施について

Q1布施という言葉にどんな意味があるのですか?
 ご法事や葬儀、お盆のお檀家参りの際に、のし袋には「お布施」と書きます。布施は、簡単には「布(あまね)く施(ほどこ)す」ということです。相手に対する好き嫌いや、むさぼりの気持ちを離れて、食べ物や衣服を仏さまや僧、困っている人に施し与える行為を指します。「施す者」「施される者」「施し物(供物等)」の三つが、共に本質的に「空」で、何のとらわれも思惑もないと考えます。この三者が等しい輪にあると考えて「三輪清浄(さんりんしょうじょう)」ともいいます。
 仏教には修行の過程で六つ実践目標(六波羅蜜(ろっぱらみつ))がありますが、この中に「布施波羅蜜(ふせはらみつ)」が含まれます。布施による利他行(りたぎょう)(他を利する活動)は、仏教の長い歴史の中で、特に重要視されてきた行為です。皆さんが、災害等で、被災地に救援物資を送ったりすることも布施の行為なのです。
Q2お布施に包む金額がよくわかりません。
 お葬式やご法事の際に、よくお檀家の方が「お布施はいくらですか?」「金額をはっきり言って下さい。」と言われます。経済が優先される今の社会風潮では、仕方のない質問なのかも知れません。現実に「どうしても困るので」と言われる場合、目安をお話しすることもあります。それでも、家族や親族の死に臨(のぞ)んで、金額が話題になるのは何かやり切れないものが残ります。
金額にこだわるのは「安い、高いと思われたくない。」という不安な気持ちも影響するのかも知れません。でも、布施は「三輪清浄」、差し上げる方も受け取る方も金額にも、何のとらわれも介在しません。「お気持ちで…………」というのは「布施の心で」とご理解して下さい。
Q3お布施を渡す時に何か心がけることはありますか。
 もともと、お布施の中身はお金ばかりではありませんでした。仏さまやご先祖さまにおあずけするお供物も「お布施」と考えられます。お布施には、世間体やよけいな心配は無用です。故人やお寺に対する供養の気持ちを、皆さんそれぞれの事情の中で、考えられる限りのことをそのまま施すことが何よりなのです。
 また、渡すタイミングですが、すべて終わった直後にお渡し下さい。但し、お葬式は出棺等であわただしくなりますから、前日、お通夜の後が適当でしょう。その他、わからないことは遠慮なさらずに何でもご相談して下さい。

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