真言宗智山派吉祥院珍珠山

仏教コラム

わかりやすくQ&A仏さまの世界とは

Q1仏さまの世界ってあるのですか?
 仏さまの世界は存在します。これは断言できます。これまで昔から日本では浄土とか、極楽浄土と言われてきました。この浄土は清らかな土地なので浄土と言います。それに対して汚れた、穢(けが)れた土地は穢土(えど)と言います。
 平安時代に浄土信仰が盛んになった時には「厭離(おんり)穢土・欣求(ごんぐ)浄土―穢土を厭って、浄土を求める―」と言われたそうです。浄土は仏さまの世界、穢土は私たち俗人が暮らす世界。もっと平たく言うと浄土はあの世であり、穢土はこの世です。別の言い方をすれば、三途(さんず)の川を隔てて向こう岸は彼岸、こちら岸は此岸です。この世は嫌なこと、苦しいことばかり、だから仏さまの住する世界へ行きたい! と多くの人が考えていました。
Q2浄土は空想の世界じゃないの?
 浄土はどんな世界なのか? その様子は事細かく描かれています。浄土信仰では「弥陀(みだ)の来迎(らいごう)図」で死んだ後に阿弥陀さまが西の山の彼方からお迎えに来る様子が説かれます。源信の『往生要集(おうじょうようしゅう)』は浄土のことが細かく説かれ、この本には地獄の様子もリアルに描かれます。その他、観音さまややお薬師さまの浄土を説くお経もあります。昔の人はそうした書物を紐解いて、イメージ豊かに想いをふくらませ、極楽浄土図や地獄図をいっぱい描いてきました。
 真言宗の寺院にある曼荼羅図も仏さまの世界を極彩色で描き顕したものです。真言宗の仏さま、大日如来の悟りの境地を図解したもの。金剛界と胎蔵界と名付けられたこの仏さまの世界は、真言宗の教えを余すことなく説き明かしてあります。吉祥院にもご本堂にいつも安置してあります。興味のある方はぜひご覧になってみて下さい。
Q3仏さまの世界はどこにあるの?
 仏さまの世界は架空のものではありません。その気になれば、いつもその世界を目の当たりにできます。それじゃあ、どこにあるのか? あなたのお家のお仏壇、その中が仏さまの世界です。だから昔から日本人はお仏壇を家の中心や最も大切な空間にお祀(まつ)りしたのです。真ん中の奥にご本尊さま、両脇に真言宗の弘法大師・興教大師がお祀りされ、その前には成仏したご先祖さまのお位牌が安置されています。身近な空間に仏さまの世界はあるのです。
 そして皆さんの菩提寺・吉祥院のご本堂の奥、お内陣は仏さまの世界、浄土を実際に顕現(けんげん)させたものです。ご本尊・毘沙門さまの世界を現実のものとしたのがご本堂の内陣です。お墓参りの時、ぜひご本堂にもお参りして目に焼き付けて下さい。皆さんが成仏した後に行く先、それを目にすることができるのです。

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