真言宗智山派吉祥院珍珠山

仏教コラム

わかりやすくQ&A葬儀(通夜)はなぜ、必要なの?

Q1家族が亡くなったら、何をすればいい?
 ご家族の誰かが亡くなられた時、その胸中ははかり知れません。頭の中が真っ白になり、混乱もしますね。そんな中でも、かけがえのない人を送り出すために通夜・葬儀の準備を進めなくてはなりません。今はほとんどの方が葬儀屋さんに連絡して準備を進めます。それと同時に菩提寺(墓を管理する寺)にもあわせて必ず連絡して下さい。ご遺族と菩提寺の住職と葬儀屋は、よく意思の疎通をはかって、大切な亡き人を仏の世界へ送り出さなければなりません。。
 大切な人の死は本当に何よりつらいこと。だからこそ、その死を悼み、尊び、厳かに迷わず成仏してもらう。嘆き悲しむ中で、亡き人の死を支えてくれた多くの人と一緒にお別れをしましょう。
Q2お通夜と葬儀って意味があるの?
 お通夜と葬儀を行う意味はとても深いものがあります。だから欠くことはできません。故人が大切であればあるほど、葬送儀礼は意を尽くさなければなりません。儀礼なんてかたちばかり、心を込めればこだわらなくてもいい……。そんなふうに儀礼を省略する今の世の中の風潮は、人の"生と死"をずいぶん軽く考えているようです。でも、大切な人の死を簡単に内々で済ませると、悲しみに暮れる心は、いつか耐え切れなくなります。死を大切に厳粛に受け止める場で、みんなで丁寧にじっくりとお別れしないと、時に心は折れちゃいます。
 通夜は夜を通して、支えてくれ関わりのあった人と共に故人を偲び、語り合う場。そして葬儀は、故人が迷わず成仏したことをみんなで確かめ、最期のお別れを告げる場です。亡き人の死をみんなで分かち合って悼むことが、壊れそうな心に何よりも恵みとなるのです。
Q3心のこもったお別れはどうすればいい?
 簡素にしたお別れ会では、心を込めたり、お別れをしっかり告げる暇もありません。内々で簡単に済ますなんて、目先のことにしか気が回らない、時間に追われる今の社会の悪癖ではないでしょうか? 通夜・葬儀それに法事は、日本人がずっと前から培ってきた人の心を大切に想う、心を癒すための儀礼です。
 いま、巷では「グリーフケア(悲しみの癒し)」が話題になっていますね。大切な人の死を悲しみ、それを癒すためにどうしたらいいか……? でも仏教では前からこのグリーフケアを仏事として行ってきました。通夜・葬儀と七日毎の供養。忌明けの四十九日忌と納骨。家で新盆を迎え、寺では大施餓鬼法要で回向。その後も年回忌の法事に親族・関係者が集まり、お塔婆をあげて墓参する。ご先祖さまから培ってきたグリーフケア、それが心を癒す仏事となったのです。

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