真言宗智山派吉祥院珍珠山

仏教コラム

わかりやすくQ&A真言宗の教えって、なに?【1:真言宗の真言とは?】

Q1真言宗ってどんな宗派なの?
 真言宗は弘法大師空海が宗祖です。平安時代に空海が中国へ渡り、当時、国際都市といわれた長安(今の西安)の青龍寺で密教の大家・恵果和尚から法を授かりました。その密教を日本に伝え、京都の神護寺や東寺、和歌山の高野山を拠点に、国内でその教えが広まる過程で、真言宗とか真言密教と呼ばれるようになり今日に至っています。
 真言宗には18の本山があり、およそ同じ数の宗派があります。例えば高野山真言宗や真言宗智山派、豊山派、醍醐派などです。いずれも宗祖は弘法大師空海、お大師さまです。また四国八十八ヵ所霊場のお寺の多くは真言宗の寺院です。全国各地の様々な霊場を訪れて参詣することを巡礼とか巡拝といいますが、四国霊場を巡る時にはお遍路といいます。
Q2真言って、どういう意味があるの?
 真言宗の"真言"には、一体どんな意味があるのでしょうか? 真言は「真(まこと)の言葉」とも読めますよね。そのとおり「まことの言葉」を重んじるのが真言宗です。では、まことの言葉とは何か? 真の言葉とは、仏さまが話す言葉、仏さまから発せられる音、音声。それが「真の言葉」です。
 私たちが日常話す言葉は、自分の主観だったり、何かにとらわれたり(執着)、思い込みによって語られます。だから相手との勘違いや行き違いが多くなって、ありのまま、そのままを話すことが難しくなります。そうした煩悩や執着が一切ない、無垢で真理を表現するのが仏さまのことば、それが真言なのです。お経に説かれる内容も真言のひとつということになります。何も汚れていない、真理を語る言葉が真言。それを最も大切にするのが真言宗です。
Q3仏さまの言葉(真言)ってどんなものなの?
 お経に説かれる深遠な教え、それと仏さまが話す言葉、それが真言です。普段、煩悩や執着にまみれた私たちには、聞こえない音声です。真理(まこと)の言葉は煩悩や執着を離れて、悟りの境地を得られてはじめて、その言葉が耳に届きます。でも、この真言は、皆さんがご法事や、通夜、葬儀とかお寺の年中行事でお唱えする、勤行聖典(智山勤行式)の中にあるのです。般若心経や光明真言などは、いわゆる真言そのものです。
 光明真言は「おんあぼきゃ べいろしゃのう まかぼだら まに はんどま じんばら はらはりたやうん」、発菩提心真言は「おん ぼうちしった ぼだはだやみ」、三昧耶戒真言は「おん さんまやさとばん」です。これらの真言は仏の言葉、つまり、まことの言葉です。皆さんが勤行聖典をお唱えすると、仏の言葉を口にして、仏さまを実感することになるのです。

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