ご本尊さま
ご本尊・毘沙門さまの功徳

         毘沙門天(びしゃもんてん)は、財宝の神様、守護神と言われ、七福神のひとつとしておまつりされています。仏教の多くの仏さまが描かれる"マンダラ図"の中にある仏さまの一つです。仏教は、はるか昔にインドでおしゃかさまが説かれた宗教です。もともと毘沙門さまは、インドの戦いの神さまとして敬われていました。ですから、そのお姿は鎧兜(よろいかぶと)に身を包んでいます。そして、右手にはヤリのようなものを立て、左手は左胸の前に掲げて、手のひらを上に向けて、その上に宝塔、つまり、宝物のいっぱい詰まった塔を乗せています。

         インドの名前は「ヴァイシュラバナ・テーヴァ」と言います。"ヴァイシュラバナ"は「多聞(多く聞く)」「人の話を良く聞く」「物知り」という意味です。"テーヴァ"には「光り輝くもの」「神々しいもの」という意味があります。
皆さん良くご存知の『西遊記』に出てくる三蔵法師(玄奘三蔵)が、インドから中国に持ち帰った、たくさんのお経を中国語に訳した時に、この「ヴァイシュラバナ・テーヴァ」の音をそのまま写して、漢字を「毘沙門天」と当てはめたと言われています。

        戦いの神様としての毘沙門さまは、同時に財宝の神様でもあります。戦いに強くて、財宝をいっぱい蓄えていると思うと、何かイメージが合わないかも知れませんね。けれども、宝物を敵からしっかり守護すると考えれば、納得できるのではないでしょうか。仏教では、毘沙門天は"北の守り本尊"という役目をまかされています。 

        財宝の神様と言われていますが、毘沙門天の大切な宝物とは何でしょう? 毘沙門さまの左手にちょこんと乗せられただけの小さい小さい塔の中にある宝物は、仏の教えが説かれた「お経」が入っています。毘沙門さまは名前のとおり、このお経の内容、素晴らしさを誰よりも良く知っているので、その大切さを実感しています。ですから、自分を一番大切なものを何が何でも守り切るという決意がお姿に現れているのです。 

        大切な宝物とは、私たちにとって何でしょう? 財産はもちろん大切です。健康も、家族も、友達も、恋人も、仕事も、生きがいも、み〜んな大切です。毘沙門さまは、それほど大切なものを、ちょこんと手のひらに乗せているだけです。ちょっと動けば、すぐに落ちてこわれるような危ない様子です。これが毘沙門さまのメッセージと考えて下さい。「私たちが大切と思うものは、すぐにこわれてしまうものだから、忘れないよういつも自分に言い聞かせて、大切に心がけておきなさい。」そういう思いを私たちに語られています。