真言宗智山派吉祥院珍珠山

仏教コラム

わかりやすくQ&A真言宗の教えって、なに?【3:真言宗の教主とは?】

Q1真言宗で最も尊ばれる仏とは?
 真言宗で最も尊ばれる仏さまは大日如来といいます。別の言い方をすれば「真言宗の教主」でしょうか。「真言宗の教えを説く主」という意味になります。多くのお経(経典)では、主人公である仏さまが教えを説くというかたちを取ります。大日如来は略称なので正式には大毘盧遮那(だいびるしゃな)如来と言います。この大日如来が教えを説く経典の中で大切な経典が2つあります。
 それが大日経と金剛頂経で、この2つを真言宗では両部の大経と称して、真言宗の教えの根拠となるものです。この経典を分かりやすく図絵に現わしたものが現図両界曼荼羅と言われるもので、大日経を現わしたものが胎蔵曼荼羅、金剛頂経を現わしたものが金剛界曼荼羅です。大日経と金剛頂経の教えを説く主人公が大日如来で、この両界曼荼羅それぞれの中心(主尊)にお祀りされています。
Q2大日如来はどんな仏さまなの?
 大日如来は、もともとは「大日」という名前の由来から太陽神が起源になります。頭には尊い仏の智慧を象徴する「五智の宝冠」を戴き、穏やかで安らかなお顔の表情をしています。その身をきらびやかな装飾品で飾り、八葉の蓮の花びらでかたちづくられた蓮華座に座ります。
 大日如来は大きく2つのお姿で描かれています。現図両界曼荼羅の胎蔵曼荼羅と金剛界曼荼羅それぞれの中心に座す大日如来は少しずつお姿が違います。その違いは何か? 最も目につくのは手のかたちです。胎蔵曼荼羅の主尊である大日如来は、おへその下の辺りで手の平を上にして、左手を下、右手を上にして重ね「法界定印」という手のかたちを結びます。また金剛界曼荼羅の大日如来は両方の手を拳にして、左を下、右を上にして胸の前で組んで「智拳印」を結びます。
Q3大日如来のはたらきぶり
 真言宗の仏たちは、お姿、表情。身に付けたり、持っているものすべてに意味が込められています。胎蔵界は慈悲の世界を現わすもので、大日如来の慈悲の心が中心から周囲に拡がってゆく様子が描かれています。金剛界大日如来はこの曼荼羅図に描かれる仏さまの中で、最高、最上の智慧を有する仏さまですから、真言密教を代表する5つの仏さま(五仏)の智慧を象徴する冠を戴き、手には仏さまの智慧を象徴する智拳印を手に結ぶのです。
 大日如来の慈悲と智慧というはたらきを、無数の仏さまのお姿で描いた曼荼羅図。大日如来の功徳が拡がる刹那を、一つ一つの仏さまのお姿として描いています。そして、それは大日如来がその仏さまのお姿に変化され、私たち迷える衆生を救済するために活動していることをも示しているのです。

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