真言宗智山派吉祥院珍珠山

仏教コラム

わかりやすくQ&A真言宗の教えって、なに?【8:仏教と密教は違うの?】

Q1仏教と密教、何が違うの?
 これはちょっと難しいですね。密教(真言宗)では仏教の中で密教と顕教とにはっきり区別します。つまり密教とそれ以外の仏教(顕教)というように分けるのです。顕わな教えと秘密の教え。そうして分ける一番の違いは成仏の遅速。つまりいつ成仏できるのか?ということです。
 密教は、いま生きているうちに成仏できる可能性があると考えます。他の仏教では、悟りを得るのはなかなか難しいから、もっと長い時を経ないと成仏できないとします。密教は真言宗の宗祖弘法大師が即身成仏を説いています。即身成仏とはいま生きているこの身のまま、仏に成る可能性があるという教えです。勿論、成仏の可能性を説いているからといって、誰でもすぐに成仏できるというものではありません。けれども、真言密教の教えを信じて、精進すれば仏と成る可能性がパーッと拓けると説くのです。
Q2仏に成る可能性って、どういうこと?
 それじゃあ、仏に成るための精進ってどんなことをすればいいのでしょう? 仏に成るとは仏さまの境地、つまり悟りを得ること。それには仏さまと出会う機会を多くする、そして仏さまを実感することでしょう。仏さまを実感するには何をすればいいのか? できることからするなら、まず仏さまを拝むこと。それにはお家のお仏壇にお祀りされているご本尊さまなら毎日でも拝めるし、出会えますよね。日々お仏壇のご本尊さまを拝んで、時には菩提寺のご本尊さまにお参りする。そうすれば仏さまを実感する機会は多くなります。
 機会が増えると、いつの間にかあなたは気が付くことがあります。それは自分の中に仏さまという可能性が膨らむことを実感するはずです。真言密教はあなたの中にある可能性を仏と呼びます。仏に成れる性質が誰にでも宿っている。それが即身成仏の教えのスタートなのです。
Q3仏さまの世界は実感できるの?
 自分の中にある可能性を仏と呼ぶ。密教はあきらめない、投げ出さない、逃げ出さない教えです。自分の可能性をどこまでも信じ切るのが真言密教です。あなたの中の可能性、理想の型があなた自身の仏なのです。つまりあなたが理想として、追い求めるものが仏に成る、成仏することになるのです。あなたの中には仏に成る可能性が眠っている。それを目覚めさせるための精進が仏道修行ということになります。
 あなたが目覚めて仏に成れば、いま生きているこの世界は仏の世界、つまり浄土と化すのです。真言宗の浄土は密厳浄土といいます。何も信じていない人には穢土(穢れた土地)にしか見えない世界が、真言宗を信じて仏に成るために励めば、秘められた仏の世界が実感できるのです。

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