真言宗智山派吉祥院珍珠山

仏教コラム

わかりやすくQ&A真言宗の教えって、なに?【9:仏に成って安心を得る。】

Q1真言宗の教えは何を目指しているの?
 真言宗の教えの根幹は弘法大師空海が著した『即身成仏義』です。とても難しい内容ですが、誤解を恐れずにひと言で言えば「この身のまま成仏する」教えということになります。仏に成る可能性を信じ、具体的にその実践を説くものです。そしてこの教えは、お釈迦さまの教えを解き明かしたものでもあります。お釈迦さまは瞑想によって悟りを開かれました。それから後にお釈迦さまが説いた教えは、生きとし生けるものすべてが苦を除き、楽を与えるものです。苦から解脱して心が安らかになることを目指すものです。
 心が安らかになる。それはお釈迦さまが悟りを得た時の境地であり、真言宗はそのお釈迦(仏)さまの心のあり方を実感することを目指すのです。それが仏に成るということにつながるのです。
Q2仏に成るために何をするの?
 仏さまに成るには、まず仏さまと出会い、実感することから始まります。そのための具体的な実践方法が真言宗にはいくつもあります。お仏壇に祀られる本尊さまを拝む。お経を読み、書き写す。仏さまを描く。ご詠歌をお唱えする。霊場を巡礼する。そして瞑想する。自分がまず出来ることから始めれば、いつかきっと仏さまと出会い、仏さまを感じることがあります。こうしたお仏壇のお勤め、読経、写経、写仏、巡礼、観法(瞑想)などは、仏さまと出会い、仏さまの境地を感じる営みなのです。
 特に真言宗の瞑想は、こうした営みの中で仏さまを実感し、仏さまに成る最も近道かも知れません。真言宗の瞑想の中で阿字観と月輪観は、仏さまを観じ、仏さまと一つになることを目指すものです。
Q3仏に成るとどうなるの?
 月輪観はお月さまが描かれた図絵を本尊さまとして、それを見つめて瞑想するものです。月の輪郭を自分の想像(イメージ)で拡げ、この無限の宇宙と自分の心がつながっていることを実感します。阿字観は真言宗の教主・大日如来を象徴した阿字のご本尊の図柄を見つめて、大日如来と自分を一つに観じる瞑想です。
 こうした真言宗の瞑想は、仏さまと自らが一つとなり、仏さまが放つ光を自らも放ち、その光に包まれて仏さまと一つになるのをイメージします。その光はすべてのものを包み込み、生きとし生けるものの苦を除き、楽を与えます。この瞑想が終わって、道場を出る時には、自分の周りの全てのものへ、大いなる慈悲心を抱くようになります。むさぼりや怨みのない心持ち、安らかな心を実感できるのです。

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