風信(かぜのたより)No.2

いのちの尊厳ということも最近、良く耳にします。良く耳にする言葉ですけれども、いのちとは何かと問われた時に、あなたならどう答えますか? 生命(せいめい)といのちは違うものなのでしょうか? ニュアンスにちょっと違いを感じませんか? いのちについて、ちょっとひも解いてみると、遠く万葉集の枕詞(まくらことば)では、「たまちはる」「たまきはる」と言います。「魂がやって来て極まる」という意味だったそうです。また、古来よりいのちとは「息の霊」と考えられていたようです。つまり、自分の体の中で、霊性が呼吸して息づいていると実感していたわけです。

いのちとは、人の魂とか精神が息づいていること。つまり、自然の循環の中で活かされている営みと考えられるわけですよね。自分の魂が息づいていて、自然の中で活かされていることを実感できる時に、いのちを全うしていると言えるのではないでしょうか? 自分だけの存在を誇示しない、自然の循環の中で息をしていられることに感謝できる。エコロジーとか環境なんて耳に心地良い言葉で、他人事のように語るよりも、この内にある魂のいきづかいを感じられるというなまなましい営みを、しっかりとリアルに実感したいものです。