風信(かぜのたより)No.45
信じるとはそういうこと。いつも仏さまと向き合い、手を合わせて祈れば、願いは必ず叶います。信じる者はいつも祈ります。だから仏さまのご加護を切実に感じられる。そうして救われるのです。 近頃の災害から私たちは何を失い、それによって何を得たのでしょう?自然が引き起こす災害を何としても防ぐ手立てを考えて、例えば十何メートルの防波堤を築き、耐震強度を並外れたものにする。それとも自然の脅威を切実に感じながら、できる限り身の丈の防災意識をいつも抱いていのちを守る知恵を積み重ね、自然の恩恵に感謝する。あの未曾有の出来事を、これから私たちのライフスタイルを考え直す契機にしなくてはなりません。
自然から恩恵はいくらでも受ける。だけど危険は頑丈なコンクリートを使って自然をむしばみ、科学技術で回避する。それじゃあ人間のエゴ丸出しではありませんか。“自然との共生”や“エコ”を言うのなら今の便利で快適な暮らしは控える。自然から与えられる恩恵、それに報いるライフスタイルを考えみる。自分にできることを身近なところから、ひとつずつ実行してみませんか。
自然と共生するのであれば、自然と運命共同体となる意識をもっと持てるといいですよね。恩恵を受けるのなら、災害に遭うことも厭わず、受け止める。私たちが生きてゆくうちには、善いことも悪いことも、メリットもデメリットも必ずあるでしょう。それを受け止める覚悟があると良いと思うのです。どんなに科学技術が進歩しても、私たちが満ち足りることはないでしょう。だって、人が喜びに満ちるのは、心に充足感がもたらされるのは、もっと別のところにあるから……。
いつかは、きっと善いことがある。心が喜びに満ちる時がある。それを信じて、授かったいのちを全うする。そうして、これまで誰もが仏さまや神さまに祈ってきました。そして救われてきました。
必ずやって来る未来を信じて、祈りましょう。ささやかだけどへこたれない生きる力がこの内にある。そしてそれは仏さまのご加護によって溢れてくる……と。皆で祈り、力を合わせれば、怖いものなど何もありません。