風信(かぜのたより)No.70
齢を重ねて老いとともに病気を患い難儀していますか? 目の前の現実は待ったなしであなたに色々なことを強いるでしょう。そんな時に自分を見つめたり、自分が求めるものを探す余裕なんてありませんか?「自分がやらなければ……」「私が我慢すれば……」「周りの目が気になって……」あれもこれも気にして、時間もお金も浪費して、それでも次から次へと情報に追い立てられるのがこの世の中です。そんな時こそ、草花が揺れている刹那に風が吹いているのに気づき、春に向かう季節に表へ出て陽ざしの暖かさを感じたりする。そんな自然の森羅万象を感じ取ることができたなら………
立ち止まってみると、さっきまで流れていた風景も、ぼやけていた色合いもはっきり見えてきます。「自分がやらなくても」「そんなに我慢しなくても」「周りを気にしなくても」世間は変わることなく動きます。あなたの存在の有る無しに関わらず流れます。その足を止めて、少し高いところから俯瞰(ふかん)して見ると、この瞬間にも世界中で幾千ものいのちが生まれ、その一方で死を迎えます。
生々流転するのが世の常、毎日が戦いの最中であっても、休息が無ければ消耗して死に絶えます。息を抜き、息をゆっくり整え、生きる力を充電しないと元気には動けません。こんなに今、あなたに大切なスマホも充電しないとフルスペックに活かせません。日常を戦える生きる力を蓄えるには非日常という息抜き、パワーを養うひと時と場所は欠かせないはずです。
疲れると癒されないのが人の常です。人は誰もが一年を過ごせば消耗してすり切れます。癒されなくなるのは当たり前のことでしょう。だから、癒されたくて、旅に出て、温泉に行き、パワースポットを巡り、生きる力を蓄えます。日本中どこへ行っても、その町や村に神社仏閣が必ずあります。昔からその地に住む人々に生きる力を与え、生きる支えとなってきたのはカミホトケです。
そして、その土地の聖なる場所、つまりパワースポットがお寺であり神社でした。寺院は仏さまの世界を顕わにした空間。仏さまは人の理想型であり、人に生きる力をみなぎらせます。目に見える、手に触れられる夢と希望の場所は、今やテーマパークですね。でも、心を豊かに育んで感性を鋭くする夢と希望の空間は、ずっと昔から仏さまの世界、お寺のご本堂なのです。くり返し仏さまに祈ると生きる力が育まれ、夢や希望にあふれます。